東京急行電鉄株式会社

時差Bizに参加した目的

鉄道事業本部 事業戦略部 企画課 課長
小里 好臣様
経営企画室 企画部 イノベーション推進課
サテライトシェアオフィス事業「NewWork」担当
プロジェクトリーダー 永塚 慎一様

鉄道事業者として混雑緩和に貢献すべく、列車の増発や駅の整備など具体的な取組を行ってきた同社。近年、それと同時に「働き方改革」に着目した試みにも挑戦してきた。例えば、都心にオフィスを構える企業を訪問し、働き方改革の一環として、スライド勤務などオフピーク通勤につながるような施策の導入を呼びかける独自の活動を展開していたという。
「しかし企業間の取り決めとなると、様々なハードルが発生します。制度を導入してもらえたら、何かしらのインセンティブを付与するなど提案もしたのですが、当社一社だけの取組では限界がありました。そんなとき、東京都から時差Biz実施の発表があり、快適通勤を社会全体に働きかけるムーブメントであることを知りました。ぜひ連携して活動を行いたい。そう考えて、参加を決定したのです」(小里課長)。
ライフ&ワークスタイルの革新という大きな課題は、社会全体が変化しなければ実現しない。そこに働きかけられるのが時差Bizであり、そのムーブメントには「社会の流れ」を変える力が備わっていると同社は判断したのである。

“シェアオフィス”の具体的な取組内容

両輪のもう一つ、同社のシェアオフィス事業は、不動産事業のテナントからのリクエストがきっかけだったという。成長著しいIT企業などを多く顧客としていたために、提供していたオフィスビルが急速に手狭となり、「本社以外で働ける場所を探してほしい」との要望が数多く寄せられたのである。
その解決策として企画立案されたのが、企業相乗り型のシェアオフィス運営だった。契約を結べば誰でも利用できる勤務スペースを都心・郊外に複数設置すれば、「働く場所」の問題が解決できる。そのうえ自社でも、同様のメリットを得られるものと見込んだのだ。2016年5月に始まったこのサテライトシェアオフィス事業は、今では直営店を含め、全国約70か所に店舗を構えるまでに成長した。契約企業は、従来のテナント客も含めておよそ70社。そして当然のように、自社の社員も積極的に活用している。 「毎月200~300人の社員が、いずれかの店舗で業務を行っています。上長への事前申請は必要ですが、難しい申請もなく、勤務日数や時間帯の制限もなし。業務中は社用携帯電話の利用を必須とするなどいくつかのルールがあるものの、ほとんどがセキュリティに関係する内容です」(永塚プロジェクトリーダー)。
現在では、朝一番のメールチェックなどはシェアオフィスでこなし、時間をずらして出勤してくる社員も増えた。また、これまで時短勤務を行わざるを得ない状況にあった社員が、自宅近くの店舗を利用することで通勤時間を削減。結果、通常勤務と同時間働くことができるようになったなど、ワークスタイルの変化が生産性効率化につながっている。
「利用率が目立って高いのは、生活サービス系、あるいは不動産事業に携わる部署に属する社員です。取引先への訪問などで移動が多い分、時間的な面でのメリットを強く感じるからでしょう。今後はさらに店舗数を増やして、利便性を高めていきたい。それにより、個人の働き方にもさらなる変化が生まれてくるものと考えます」(永塚プロジェクトリーダー)
なお、業務の効率性を重視した働き方を実践するよう強く求めている同社では、シェアオフィス勤務と並行して直行・直帰も推奨しているという。

時差Bizに期待すること

鉄道事業やサテライトシェアオフィス事業で行なわれる多様なキャンペーンなどの取組を、時差Bizのムーブメントに乗せ広く周知させていく。これは同社が「今」求める時差Bizへの参加効果だ。しかし同時に、「これから」の社会に響く効果にもまた、大きな期待を寄せている。
「『より効率的かつフレキシブルな働き方ができる社会へと変えていこう』、そう呼びかけて各企業の意識改革のきっかけづくりに結びつけるのは、一民間企業の力だけでできることではありません。だからこそ、東京都が持つ影響力、発信力を活用して、社会に変化をもたらしてほしいと望んでいます」(小里課長)。
「シェアオフィスでも、早朝から仕事をスタートして夕方早めに帰るという利用者は確実に増えています。これは、働き方を変えようという流れが世の中にできつつあることの表れ。それを定着させてくれるのが、時差Bizなのではないでしょうか」(永塚プロジェクトリーダー)。
今後も、鉄道事業者としてさらなる快適通勤を、一企業として働き方改革を推進していく同社。人々のライフ・ワーク・バランスの実現に向けて進むその足は、留まることなく前へと進んで行くだろう。

Column

混雑緩和策「グッチョイモーニング」

同社の混雑緩和策「グッチョイモーニング」は、「良い選択」という意味である、「Good Choice(グッドチョイス)」の短縮形と「Morning(モーニング)」を掛け合わせた言葉で、朝時間帯の多様な選択肢の中から、お客さまご自身が「最適なチョイス(選択肢)を選んでいただく」ことを目指した混雑緩和プロジェクト。働く場所、交通手段、乗車時間の3つにおいて、朝の選択肢を提供する。
「グッチョイモーニング」の1メニューである、国道246号を運行する東急バスでの通勤を推奨する「バスも!キャンペーン」は、田園都市線の池尻大橋駅~渋谷駅間を含む定期券の所持者が対象。追加料金不要、運行本数の多さなどを理由に、1日350~400人程度が通勤手段をバスに変えたとの結果がすでに出ている。また、時差Biz期間からの新しい試みとして、東急線アプリ経由でお得な割引クーポン(=「グッチョイクーポン」)を配布し、利用者の朝型勤務や朝活を応援する。
「これらのキャンペーンをきっかけに『お試し』でライフスタイルを少しだけ変更、その効果を実感したうえで、その人なりの働き方を形づくっていただけたらと思います」(小里課長)。