日本マイクロソフト株式会社

時差Bizに参加した目的

コーポレートコミュニケーション本部
本部長 岡部 一志様

自社はもちろんのこと、日本社会全体に向けてテレワーク推進を発信し続けている日本マイクロソフト。具体的な取組に至るには、いくつかのきっかけがあったという。そのルーツは、2007年に設けられた在宅勤務制度だ。育児や介護などと仕事の両立が、社会的課題として表面化してきた当時、日本マイクロソフト社内においても女性社員の離職率を抑制するなどの目的で、在宅勤務制度を導入した。ただし、当時の在宅勤務制度は主に育児や介護といった事由がある社員のみが活用するという限定的な傾向になっていた。
そして、次の大きなターニングポイントが、2011年2月の東京都内のオフィス統合・本社移転だった。これを機に、経営方針の一つとして、全社規模で働き方改革を推進する取り組みを開始した。
「現在の品川本社オフィスへの移転の際に、フリーアドレスを導入して60%の社員の個人の固定席をなくしました。また、固定電話もなくし、メール、通話はもちろんオンライン会議などを“Skype for Business”という自社製品のツールで行うように促進したのです」
このアクションには、働きやすい環境づくり以外にも目的があった。「その頃、従来型のソフトウェアなどの製品を購入いただくというビジネスから、クラウドサービスを軸としたビジネスモデルへと広がっていく端境期でした。お客様に新しいサービスを使っていただくためには、クラウド環境を使ってどんなことが実現できるか、私たち自身が実証することが最良の方法だったのです」
今回、同社が時差Bizに参加したのも、テレワーク推進企業として自社の取り組み方、進め方を紹介していくことで、テレワークに対する理解を深め、普及に貢献していきたいという基本的な考えがあったからだという。

“テレワーク”の具体的な取組内容

テレワーク制度の内容について詳しく聞いていくと、「実は当社がテレワークを正式に制度化したのは、昨年2016年なのです」と意外な言葉が返ってきた。
「オフィス移転をして1カ月。そろそろ新しい環境に慣れてきたと思ったときに東日本大震災が発生しました。東北に拠点を持つお客様もいますし、もちろん東北出身の社員やお客様やパートナー様もいます。首都圏もかなりの混乱状態でした。混乱する中で、会社機能を止めずに、効率的に仕事を進めるにはどうすればいいかを考え、一致団結しました」
緊急事態に直面しても慌てたり、焦ったりすることなく、お客様、パートナー様のことを考え、社員同士も助け合い、効率的に仕事を進める方法を考え、実践し続ける。落ち着いて後から見たら、それこそがテレワークだったという。
「テレワークという旗を掲げて推進してきたのではなく、社員の自主性によって、“いつでも、どこでも仕事ができて、しっかりと結果を出していく”。自分たちが進めてきたことが結果テレワークだった、ということなのです」
制度先行ではなかったからこそ、結果としてテレワークという働き方として社内にしっかりと根付いたのだ。その証左として、同社社員のテレワーク利用率は、ほぼ100%に上るという。

時差Bizに期待すること

「テレワークが当たり前となってきている中で、改めて制度化することで、就業規則上も壁をとっぱらい、社員一人一人のポテンシャルを発揮できる働き方として推進していくことがこれからの課題です」
テレワークという働き方が根付いているのは良いことだが、慣れてしまうとそれが当然となり、今以上に発展していかないという危惧があるという。
「ほぼ全社員がテレワークを活用していますが、テレワークをすることが良いというのではありません。基本的にFace to Faceに勝るコミュニケーションはないと考えています。「会社に行かなくていい」ではなく、「会社に行かないほうが効率が上がる」という時に、テレワークは活用するものです。日本の商習慣も尊重しながら、効率的にフレキシブルに仕事を進めることも大切で、限られた時間をいかに有効に使えるかが、今後に向けての大きな鍵になっていくのです」
現在、同社では“Office 365”という自社のITツールを活用している。例えば、Office 365 のAI(人工知能)の機能「MyAnalytics」を使って、「誰と一番連絡をとっているか」「全体の仕事の中で会議時間の割合がどれくらいか」といったことを数値化して見ることができる。それによって本人に改善点など「気付き」を与え、仕事の効率化やコミュニケーションの円滑化を図っていくのだという。
「これまでは“働き方を改革”することに注力してきましたが、これからは“働き方で改革”することを推進していきたいと思います。テレワークは、あくまでも、働き方改革の手段の一つであって、それ自体が目的やゴールではありません。テレワークを活用することで、何を生み出し、何を実現しいくかをしっかりと考えることが、本当の意味での改革なのです」と岡部本部長は力強く語った。
また、「思いを実現していくためには、自社だけでなく社会全体としての取組が大切です」と言う岡部本部長の時差Bizに対する期待は大きい。
「東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年までには、通勤ラッシュが改善されていることが望ましいと思います。そうしたマイルストーンに向けて、時差Bizと連携することで、私たちも更に社会に貢献できるよう取り組んでいきたいと考えています」。

Column

“働き方改革ムーブメント”とは何か

日本マイクロソフトは、自社で“働き方改革ムーブメント”に取り組んでいる。その中心となるのは、やはりテレワークだ。ICTを活用して、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方によって、生産性の向上、災害時の事業継続性、従業員の確保、維持、満足度の向上を図ることを目指して、自社が培ってきたことをベースに、「テレワークの日」「テレワーク週間」などを設けて賛同企業を募り、多くの企業に向けてテレワークの推進も進めてきた。「意識を高めていただくために、テレワーク週間なども設け積極的に取り組んできましたが、テレワークは期間を区切って行うことではないといった社内の声も高まってきています。現在は、テレワークが日常的になるための施策を思案中です」
そうした施策の一つに“オフィスツアー”がある。品川本社オフィスに移転してから、「オフィスをショーケース化する」をコンセプトに、最先端のテクノロジを駆使した働き方を、お客様に見学してリアルに体感いただけるオフィスツアーを実施している。過去6年間で、約90万人が品川本社オフィスを訪問し、その約1割がオフィスツアーに参加している。一方、社内に目を向けると8割近い社員が、親の介護などで将来に不安を持っているというアンケート結果が出たという。家族の介護があれば、今まで通り100の仕事はできないかもしれない。しかし、テレワークを活用することで介護休暇を取得することなく仕事を継続していくことができる。超高齢化という社会問題の解決にもテレワークは貢献するのだ。
テレワークという手段を最大限に活用して、「社員はもちろん、お客様、パートナー様が幸せになること」。それが、日本マイクロソフトの「働き方改革」の推進活動が目指すところなのである。